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帰ってこなかった彼女。



この時期になると毎年思い出す一頭のお馬がいます。

彼女の名前はホクトベガ。


かなり前の話になりますが・・・・

彼女は1993年1月に4歳でデビュー(現在の馬齢表記では3歳ですね)。

その年の秋に4歳牝馬のG1レース「エリザベス女王杯」を勝ち、見事にG1馬の仲間入り。

しかし、その後中央競馬の芝のレースでなかなか結果を出せない彼女は地方競馬との交流レース

に出走するようになります。


1995年6月、川崎競馬場でのエンプレス杯では後続になんと18馬身の差をつけて圧倒的な強さ

で勝ち、今でも伝説のレースとなっています。


中央競馬は芝とダート両方のコースがありますが、地方競馬はダートコースのみ。

その後もダートで出走したレースで7連勝など、とてつもない強さで彼女は「砂の女王」と

呼ばれていました。


そして・・・1997年。

世界最高峰のレース「ドバイワールドカップ」へ。

世界から強いお馬たちが招待される世界最高賞金のレースです。

今では日本のサラブレッドが海外へ行くのはそんなに珍しいことではなくなりましたが(それでも

すごく大変なことではあります)、

彼女がドバイへ行った頃は年間に1頭いるかいないか・・・そんな時代でした。

この年のドバイワールドカップの当日、ドバイは数十年ぶりの大雨でレースは4月3日に延期。

日本では夜中のレース。テレビでも放映していないので観戦の術はありません。

朝のテレビを観ずに会社に行った私はそこで衝撃的な事実を知ります。

「ホクトベガ、予後不良」

「予後不良」というのは競馬ではその子の死を意味します。


後日、その映像を観たのですが、朝っぱらから放映する(しかも競馬の番組とかじゃなく

フツーのワイドショーで)のにふさわしい映像ではありませんでした・・・。

二度と観たくありません(レースの事故映像はどれもそう思ってしまいます)。


最後のコーナーで前の馬に接触し、転倒。

起き上がろうとしたところに後ろから来た馬がまた接触。

彼女のレースは永遠にそこで終わってしまいました。

2度目の接触の時は落馬した横山ジョッキーをかばうような形になりました。

きっとあの時彼とホクトベガとの位置が違っていたら大怪我をしていたと思います・・・。


普段、勝利ジョッキーインタビューなどでもあまり感情を表に出さない横山ジョッキーが

帰国後、とても悔しそうにインタビューに答えていたこと、ホクトベガの追悼式に

喪服で出席していたこと(彼女に対してとても敬意を払っていたんだと思います)が

印象に残っています。


現地ではホクトベガの名前を冠したレースもできたそうですが、

検疫の関係で彼女はたてがみだけが帰国。

・・・彼女は帰ってきませんでした。



私にとって彼女は「とっても大好きなお馬」というわけではありませんでした。

実際、彼女と同期の「ユキノビジン」という栗毛のすごく美人な子を応援していたのですから。

でも・・・・

当時会社員だった私は、G1を勝ったのに障害レースの練習をしたり、地方へ行ってばりばり

走ったりしている彼女を心のどこかで支えにしていたように思います。


そして彼女は「死んでしまった」というより「突然いなくなってしまった」というかんじ。

しばらく、心にぽっかりと穴が開いていました。


そして今年もドバイワールドカップの日がやってきました。

今晩グリーンチャンネル(競馬と農業専門のチャンネルです)で生放送されます。

あの時ドバイワールドカップしかなかったレースも今は「ドバイワールドカップデー」となり

いくつものレースが開催されています。

今年はヴァーミリアン、ウオッカ、アドマイヤオーラ、イイデケンシンが行っています。

結果がよければものすごく喜ばしいことですが、なにより無事にレースを終えて

日本に帰ってきて欲しいな、と思います。


長文お付き合いいただきありがとうございます。


今日は初めての写真なし記事でございました・・・・。


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Commented by utsuwatabi at 2008-03-30 11:08
そういう突然のことってあるんですね・・・

ホント無事に帰ってきてくれることが一番ですね!
Commented by toubounonki at 2008-03-30 20:20
◇utsuwatabiさん
どんなレースでもお馬たちもジョッキーも危険と隣り合わせです。

今年は優勝した日本の子はいませんでしたが、みんな無事にレースを
終えました~。


Commented by DON at 2008-03-30 22:41 x
午年の私は、馬肉が食べられません。
っていうか食べちゃいけないんです。(身内は皆食べますが・・・)

1995年6月4日の宝塚記念でのライスシャワーの悲劇は未だに脳裏から離れません。
史上最強のステイヤーといわれた馬ですが、4コーナー付近での
アクシデント・・・・・可哀想でしたね。

今日の高松宮杯また外れました。
口座の残金は限りなくゼロに近いです。
困った・・・・・・・
Commented by toubounonki at 2008-03-31 09:59
◇DONさん
私もライスの事故、脳裏に焼きついています。
レースの事故の場面ってほんとにいやですよね。
ものすごく時間がたっているのに忘れることができないですよね・・・・。

昨日はマーチステークスも高松宮記念も勝つ馬はわかってたんです!!(ほんとにですよ、きのうは。笑)
それなのに馬券ははずしました・・(涙)。
マーチステークスの単勝勝負にすればよかった・・・。
・・・後悔してます。く~~~っ!!
by toubounonki | 2008-03-29 22:43 | お馬 | Trackback | Comments(4)

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