ニーズ。
2013年 04月 04日
私はろくろ仕事を終わらせ後片付けをしていました。
ギャラリーの方から「のんきさーーーーん」とオーナーさんの呼ぶ声がします。
行ってみると若い女性のお客様がいらしてました。
お話を伺ってみると、「以前にお母様がモザイクの大皿を購入してくださりとても気に入ったので
同じものがないか買いに来た」とのことでした。
しかもけっこう遠くからお越しになっていたのです。
それがこのお皿。
このお皿は陶芸館に隣接する珈琲館でも使って頂いているお皿。
でも、真ん中が盛り上がってしまったりでちゃんとできる数よりロスの方が多くなる悩ましいお皿(笑)。
オーナーさんとも話し合ってこの形はやめてちょっと違うお皿を作ってみようと話し合っていたばかりでした。
オーナーさんはこのデザインのお皿がもうないことを承知の上で私を呼んだのですが、
それはせっかく遠いところ来てくださったお客様、しかもニーズははっきりしているので
「なんとかしてあげたい」という一心で呼んでくださったと思います。
「なんとかしてあげたい」と思う気持ちは私も同様で「またロスがたくさん出るけどお時間いただいて
作ろうか・・・でもそれだと遠いところまた来てもらうことになるもの申し訳ないしなぁ・・・」などと考えて
いたのですが、お話しているうちに平面の部分が少しだけ盛り上がってしまったものが2枚家にある
ことを思い出しました。
いわゆるB品という状態のもの。
B品であることをお客様に説明し、待ってていただけるのであればすぐ家に行って持ってくるという提案を
させていただきました。
電話でお母様に確認していただいたところ「B品でもぜひほしい」と言ってくださったそうでお待ちいただいて
自宅へ戻りお皿を持って陶芸館にすぐ戻りました。
お待ちいただいた時間、約45分。
隣に珈琲館があってよかったです♪
B品なのでお値段を少しお安くして2枚ともお持ちいただくことに。
お客様がお帰りになったあとオーナーさんと「これでよかったんだよね」と二人の気持ちは一緒でした。
この話、賛否両論いろいろ出ると思います。
プロならB品だしちゃいかんだろ、という方もいらっしゃるはず。
お皿2枚のためにわざわざ自宅まで戻ってまた届けるなんてありえない・・・そう思う方もいらっしゃるでしょう。
私も正直な話B品を出すことに葛藤が全くないわけではありません。
基本的にB品もほしい方があればお売りしよう、とは思っているのですが
いつ、どんなタイミングで、どんなお値段で出すかはいつも悩んでいます。
でも、そこにニーズがあってなんとかしてあげられるならなんとかしてあげたい、と思うのです。
普段使いの器を作っているわたしにとって「使ってみてもっと好きになった」なんて言っていただけるなんて
これほどうれしいことはありません。
ニーズに応えたいと思う気持ちの形はみなさんそれぞれだと思いますが、
私はそれぞれのお客様のニーズになるべく応えていけるような活動ができたらいいな、と思っています。
今日もお付き合いいただきありがとうございます!!
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B品の扱いは私も悩みます。
どこが悪いの?と聞かれるようなものもあるので、販売することもありますが
知り合いの家でひさしぶりに自分のB品を見てしまい、
やはり恥ずかしくて投げ捨てたくなりました。
本来なら捨てるべきものなのでしょう。
やきものは基本焼き直しは難しく、リサイクルできたり燃えてなくなるものではないので
ゴミに出すと、環境を汚す自分が悲しくなります。
そして粘土は石油と同じく有限の資源です。
絶対使えないとハッキリしてたらまだあきらめもつくんですけどね。
できるだけB品を増やさないように、ひとつひとつの工程を丁寧に行うしかないんですよね。
・・・やってるつもりなんだけどもっ!(笑)
B品は増やしたくないですよね。ほんと、そのつもりでやってるんだけど!!(笑)
この問題、ものを作っている限り離れられないですよね、きっと。
わたしもたぶん「使えるものなのに捨てる」ことに抵抗があるんだと思います。
その時々の自分の判断で(時間がたてば気持ちが変わることもあるし)
どうするか決めていくしかないですよね。